共済と保険の違いについて簡単に説明してください。また、加入するときにどんな点に注意が必要ですか?
共済と保険のちがいは、およそ下表のようになります。最近は事業内容に関係なく「共済」の名称を使う団体もあるので注意が必要です。
注意のポイントは
1.認可をいつ、どこで受けたか?
2.定款や貸借対照表・損益計算書などを含む総会資料の閲覧ができるか?
3.年間の収支はいくらで剰余金の処分はどこで決めているのか?
など、事業の健全性を確かめるとともに、「たすけ合い」の主旨、目的にかなった事業であるかどうかを確認することが大切です。
共済
保険
認可
(1)
都道府県の区域内で知事の認可を取得した協同組合法人等
(2)
都道府県を越える職域・同業者・連合会等で所管省庁から認可を受けた協同組合法人等
生命保険業免許・損害保険業免許の取得規定がある。
加入者の
範囲と条件
条件を満たし、出資金を払って組合員となることにより、共済商品の利用ができる。
不特定多数
共済(保険)商品
所管省庁や都道府県知事の認可が必要。生損兼営をしている団体もある。
生・損保商品の兼業禁止規定があるが、子会社で対応できる。
目的
組合員の文化的、経済的向上を目的とし、その行なう事業は組合員への最大奉仕を目的とする等。…協同組合等…非営利
保険契約に基づき、経済的合理性のもとに保障を行う事業。…株式会社・相互会社
法的根拠に基づく共済団体
根拠法令
共済団体
農業協同組合法
農業協同組合(全国共済農業協同組合連合会)
農業災害補償法
農業共済組合(全国農業共済協会)
水産業協同組合法
漁業協同組合、水産加工業協同組合(全国共済水産業協同組合連合会)
森林組合法
森林組合(全国森林組合連合会)
消費生活協同組合法
生活協同組合(全国労働者共済生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会、全国生活協同組合連合会など)
中小企業等協同組合法
火災共済組合、事業協同組合(中小企業共済協同組合、自動車共済協同組合、交通共済協同組合等)など
地方自治法
市町村自治体、地方公共団体など
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共済について法律で定められている事項とは、どのようなものですか?
共済は組合員の生活を守るために、法律や省令、通達などによって、組合員になることができる人、実施できる共済の種類、共済掛金、準備金の積立や組合員から集めたお金の運用方法などが厳しく定められています。
共済掛金の構成
共済掛金は、純掛金(危険掛金+積立掛金)と付加掛金(事業費)によって構成されています。
1.危険掛金
組合員に支払う共済金の財源となる部分で、統計から割り出した死亡率や事故率に基づいて決められています。
2.積立掛金
満期共済金の財源となる部分で、満期のある共済に設定されます。この積立金は運用され、剰余は組合員に割戻金として還元されます。
3. 付加掛金
事業を行なうための経費です。
準備金の積立
共済事業団体は、共済契約に基づいて将来発生するかもしれない死亡や損害・災害などの支払責任を履行するため、準備金を積み立てています。
準備金には次のようなものがあります。
主な法律に定められている事項とその条文
農業協同組合法
水産業協同組合法
消費者生活協同組合法
中小企業等協同組合法
組合員の
資格
第12条
農民、地域住民
第18条
漁民
第94条
水産加工業者
第14条
地域住民職域勤務者
第8条
小規模事業者
運送事業者
(通達)
組合への
加入条件
第13条
出資が必要
第11条2項
第95条
出資が必要
第16条
出資が必要
第10条
出資が必要
責任準備金
の積立
第11条の5
省令
法律による義務
第15条の4
省令
法律による義務
第50条の2
省令
法律による義務
通達による義務
財産の運用
第11条の7
省令
第15条の6
省令
第50条の2
省令、通達
責任共済等の事業を行う組合
又は火災共済協同組合は第57条の5及び省令・通達
※その他、組合設立の要件、実施できる共済の種類など、さまざまな事項が法律によって定められています。
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共済にはどんな種類がありますか?
組合員が万一のときや入院したときの費用を保障する生命共済や、組合員の家や家財などが火災によって受けた損害を保障する火災共済をはじめとして、年金共済、傷害(交通災害)共済、自動車共済など、さまざまな危険から組合員の生活を守るため、いろいろな種類の共済があります。
共済事業はどのくらいの実績をあげていますか?
各所管省庁の認可を受けて共済事業を実施している60団体のうち、2002年度の事業実績は次のようになっています。
組合員数
66,033千人
総資産
456,814億円
契約件数
144,932千件
共済金額
11,118,076億円
受入共済掛金
68,039億円
支払共済金
34,767億円
協同組合は日本だけにあるものですか?
協同組合のはじまりは、1844年にイギリスのロッチデールで28人のフランネル職工が集まって作ったロッチデール公正先駆者組合です。そこで確認された、1人1票、購買額に応じた剰余金の配分、市価・現金主義、教育の促進などの運営原則は「ロッチデール原則」とよばれ、以後の協同組合活動に受け継がれています。
協同組合は現在、世界の93カ国で各分野での事業を行なっており、組合員総数は7億2,500万人を数えるに至っています。
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